関 悦史 : 地下道を蒲団引きずる男かな

 

地下道を蒲団引きずる男かな 悦史

 
 存在はしているが、誰も句に詠まない。そのような風景を発見するのが「写生」の本領とすれば、掲句は平成年間の「写生」句といえよう。“男かな”にほの見える心情も興味深いところだ。
 作者の関悦史(1969-)は「写生」の力に恵まれた句作者であり、それが他俳人と異なる特徴たりえている。
 
出典:『新選21』(邑書林)
年月:平成21.12.23
頁数:236p
備考:タイトル「日本景」中の一句。