2003-08-01から1ヶ月間の記事一覧

京都の西陣界隈

*西陣界隈を折に触れて散歩します。織物で盛名をはせた町のため、その面影をたずねて歩くのも楽しい。 たとえば、住まい。 西陣には何気ないながらも素晴らしい建築が散見されます。洋風建築の豪奢さではなく、往時の町家を想わせるたたずまいです。 よく見…

攝津 幸彦: 南国に死して御恩のみなみかぜ  他

皇国且つ柱時計に真昼来ぬ 幾千代も散るは美し明日は三越 皇国花火の夜も英霊前をむき 春霞軍神といふ桧かな 南国に死して御恩のみなみかぜ 霧去りて万歳の手の不明かな 攝津幸彦による戦後俳句史の金字塔。彼はまだ二十代だった。 ------------------------…

攝津 幸彦: 黒船の黒の淋しさ靴にあり

黒 船 の 黒 の 淋 し さ 靴 に あ り 幸 彦 無季。“淋しさ”をどのように捉えるかで、作品の奥行きが変わるだろう。攝津らしい句。 攝津幸彦は前衛俳句の雄として期待されたが、早世した。 ---------------------------------------------------------------…

高屋 窓秋:母の手に英霊ふるへをり鉄路

母の手に英霊ふるへをり鉄路 窓秋 高屋窓秋の連作無季俳句中の一句。時は昭和十三年五月、日中戦争勃発から一年になりつつあった。同時代俳句と比較すると、窓秋の特殊さがよく分かる。 *出典:「京大俳句」6-5、1938.5.1 *頁数:18p *備考:「会員集」よ…