2003-10-02 山口 誓子:墓に向け秋咲く花の環を置ける 俳句メモ 俳句メモ-秋 墓に向け秋咲く花の環を置ける 誓子 「秋咲く花」の措辞がすばらしい。墓と花の上に広がる秋空が彷彿とされる。しかもそれは、春や夏、冬ではなく、この“秋”に花を供えたところに、誓子の感情の高ぶりがうかがえる。 俳句にさほどなじみのない読者には、できごとを報告した作品に感じるかもしれないが、誓子一流の俳句といえよう。詠めそうで詠めない句だ。 “墓に向け”のきまじめさも、誓子独特の淡いユーモアが漂う。昭和10年作。 *収録:第三句集『炎昼』(三省堂) *年月:昭和13.9.15 *頁数:44p *備考:タイトル「神戸外人墓地」中の一句。