俳句時評「俳句遺産22 曾根毅『花修』 詩情と俳句」  (「現代詩手帖」)

現代詩手帖」2015.10.1、21p。
曾根毅(1974-)の第一句集『花修』の紹介。戦前の新興俳句や戦後の前衛俳句等の系譜を受け継ぐ作家であることと、それのみではない作品があることなどを紹介した。下記は引用句群。
 
 この国や鬱のかたちの耳飾り
 悪霊と皿に残りし菊の花
 爆心地アイスクリーム点点と
 少女また桜の下に石を積み
 五月雨や頭ひとつを持ち歩き
 原発の湾に真向い卵飲む

 教室の家族写真や花曇
 どの部屋も老人ばかり春の暮
 家族より溢れだしたる青みどろ
 水風呂に父漂へる麦の秋
 神官の手で朝顔を咲かせけり
 
 我が死後も掛かりしままの冬帽子