■「現代詩手帖」58-8,2015.8.1、p.119。
■中村遙(「斧」所属)の第一句集『海岳』の紹介。「写生」を信条とする中村氏の句業がいかに「写生」の力強さを湛えているかを指摘しつつ紹介した。下記は引用句群。
墓石を切り出す山のさくらかな
秋の蜂踏みつぶしたる舟の上
干蛸を鋏にて切る野分晴
鯔大漁線香つよく匂ふ路地
鯉の頭をまふたつに割り年逝かす
渋柿を剥くやこの世に猫背して
裏山に白き花湧く夜の帰省
熟柿吸ふ臍に僅かな力入れ
屋根裏に獣のけはひ盆が来る
腸の透けたり毛虫焼く途中