「天然ノ秩序」の「連想」――正岡子規と心理学  (学術誌「連歌俳諧研究」)

   
連歌俳諧研究」112号、2007.3.1、pp.57-68。
正岡子規は、俳論に「連想」という語を多用している。現在、この語は日常的に使用されるが、子規の時代には心理学や美学の学術専門語であった。子規は東京帝国大学で最新西欧諸学問を摂取しており、特に心理学から多くを学んでいる。彼が早い時期から「連想」を多用したのは、これら帝大の講義を受講した背景があったためといえよう。
 子規は、帝大の講義等で人間の五官中で視覚(the sight)が最も高尚であり、また記憶(memory)は実体験から得た映像で成立していることなどを踏まえつつ、それを俳句に応用した一例が「写生」であったと推定される。これらを、「連想」という語を手がかりに考察した。
 なお、本稿によって第17回柿衞賞(伊丹市柿衞文庫主催)を受賞した。