日野 草城: 高熱の鶴青空にただよへり

高 熱 の 鶴 青 空 に た だ よ へ り  草 城


 
 戦争末期と敗戦後の混乱で心労が重なり、加えて肺を病んだ草城の句。
 「高熱」にうなされ、すでに気品も覇気も失った「鶴」が、空が無限に広がる「青空」に不安定に漂う…病床に臥せる草城の心象風景を見るかのようだ。晩年の彼の傑作。


雑誌:『現代俳句』5-4
年月:昭和25.6.1
頁数:12p
備考:総タイトル「人生の午後」