目利きと、承認と ――俳誌の「評論」、そのいくつか  (「俳誌要覧 2017年版」)

俳誌要覧 (2017年版)

俳誌要覧 (2017年版)

 

「俳誌要覧 2017年版」(東京四季出版、2017.3.10)所収「評論回顧」担当、pp.30-36。
2016年の俳誌掲載の「評論」を回顧。「俳句」2016年7月号の金子兜太・大峯あきら特別対談「「存在者」をめぐって」を2016年の象徴として大きく取り上げた。東日本大震災を詠んだ大峯あきらの「はかりなき事もたらしぬ春の海」に対し、金子兜太が「甘い。謳い文句だ」と迫ったくだりを中心に取り上げ、今や大峯氏にこのような評をしえる俳人は金子兜太のような人士しかおらず、俳壇に「目利き」が不在状態であることを指摘しつつ、同時に「現代詩手帖」連載中の田島健一氏の時評を引用しつつ、多くの俳人が他者からの「承認」を際限なく求めていることなどを述べた。