春雨の桜(妙覚寺大門前)

春の陽ざしの下に眺める花は無論のこと、夜のライトアップに照らされた桜も見事です。しかし、雨にうたれる桜の情緒も捨てがたい。
 雨と花でいえば漢詩が著名ですが、和歌では『風雅和歌集』(鎌倉期の勅撰集)の次の歌が好きです。
  ひ ら け そ ふ 梢 の 花 に 露 み え て
       音 せ ぬ 雨 の そ そ く 朝 あ け   進子内親王
  
「露みえて/音せぬ雨の〜」の余韻がすばらしく、特に「音せぬ雨のそそく朝あけ」からは春雨の柔らかい音が聞こえてきそうです。
 下の画像は妙覚寺(上京区)大門前に咲く桜で、春雨の降る日でした。


 
(BGM):ホーコン・アウストボー(Håkon Austbø)
      [グリーク “Lyric Pieces Book I” Op.43 - 6. To the spring]