富澤赤黄男:くらやみへ ぶらさがりたる 氷の手

く ら や み へ ぶ ら さ が り た る 氷 の 手  赤黄男

 赤黄男の戦後の傑作。この句は当時の俳壇内で考えるより、現代詩の『荒地』派あたりの関連で捉えた方が魅力を増すだろう。敗戦を生き延びた者の胸に巣食う“戦争”の暗鬱さを彷彿とさせる作品だ。 

出典:「火山系」3号
年月:昭和24.1.1
頁数:4p
備考:タイトル「断片」中の一句。