情景の設定、焦点の絞り方、それらを生かすには何を省けばよいか、全て整っている。特に「しばらく」にこめられた時の推移が絶妙だ。この時の虚子は27歳、しかしすでに子規派の重鎮として名を馳せていた。
虚子が作者として卓越していたのは、こういう俳句の手本のような作品を――十七字に盛りこめる内容を過不足なく整える、という意味――量産できたところにある。同時に不気味な句、奇妙な句を数多く詠みえた点に、彼の凄みがある。
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*出典:「日本新聞」
*年月:明治34.5.17
*頁数:
*備考:虚子句集『五百句』(昭和12、改造社)にも収録
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