原 石鼎:高々と蝶こゆる谷の深さかな

高々と蝶こゆる谷の深さかな 石鼎

 
 若き石鼎が奈良の奥吉野に住まっていた時期の傑作。壮大な景色を難なく詠みおおせる凄さとともに、鳥ではない「蝶」が谷を越えるという状況がすばらしい。
 それにしても、この頃の石鼎は神がかっていた。
 
出典:「ホトトギス」16-8
年月:大正2.6.1
頁数:141p
備考:雑詠欄(虚子選)巻頭、全11句中の1句。