『スポーツする文学』(疋田雅昭・日高佳紀・日比嘉高編、青弓社)

スポーツする文学―1920‐30年代の文化詩学

スポーツする文学―1920‐30年代の文化詩学

 
掲載論文:「スケートリンクの沃度丁幾」(18-50p)
本論対象は1932年の山口誓子、舞台は大阪朝日ビル屋上のスケートリンク。「大大阪」なる都市生活が喧伝されたこの時期、誓子は都会のスケート風景を句に詠む。それは野外の湖面を美しく滑走する従来のイメージと異なり、屋上の狭い仮設リンクにこもる体臭や傷薬の存在する風景であった。本論は誓子俳句を通じ、日本モダニズムの生臭い側面を分析した。