待望と発見  (俳誌「澤」)

   
「澤」2014.7.1、pp.32-33。
特集「五十歳以下の俳人」に寄稿。俳句界における「五十歳以下」はほぼ「若手」と同意という前提の上で、新鮮な「若手」の不在を嘆き、待望するのでなく、評者が称賛すべき存在として「若手」を発見する方が重要と論じた。
 なお、本稿で「若手」として紹介したのは下記俳人


 小川から親子出てくる柳かな     彌榮浩樹
 伊勢海老の頭部の歩く日本かな    関 悦史
 ひだまりを手袋がすり抜けてゆく   鴇田智哉
 駄菓子屋に禁煙の札秋簾       榮 猿丸
 鏡中のこがらし妻のなかを雲     田島健
 金魚揺れべつの金魚の現れし     阪西敦子
 じきに死ぬくらげをどりながら上陸  御中 虫
 気絶して千年凍る鯨かな       冨田拓也
 橋があり冬日わたれるしづけさに   高柳克弘
 電話みな番号を持ち星祭       山口優
 上弦の月に分け合ふ餃子かな     佐藤文香