■「現代詩手帖」2015.11.1、p。
■冬野虹(1943-2002)没後に四ッ谷龍が編纂した『冬野虹作品集成』所収の俳句作品を紹介。諸芸術への強い関心を持ち続けた冬野を、白石かずこや鴨居羊子等の戦後女性の一人として位置付けつつ、純粋な表現意欲が透明感を伴って一句に宿る傾向にあったことを指摘した。下記は引用句群。
三月や麒麟の夢を指にまき
羽蟻とぶ夕陽の破片数へけり
セロファンの翳りて降りぬ海の殻
白菜はやっと内気な陽のひかり
さくら餅羅紗のぶらんこ揺れはじめ