栗本薫『グイン・サーガ2 荒野の戦士』(ハヤカワ文庫)

*栗本薫『グイン・サーガ2 荒野の戦士』(ハヤカワ文庫、1979.10)、p.67。 *ヴラド大公の令嬢にして白騎士隊隊長、アムネリスの描写。 *若い女、というよりは、まだ少女といった方がふさわしいほどの年頃だったが、しかし彼女はすでに非常な威厳をかねそ…

小島政二郎『食いしん坊2』

*小島政二郎『食いしん坊2』(朝日文庫、1987年)、pp.23-24。単行本自体は『食いしん坊2』(文化出版局、1972)。 *天麩羅の話の流れで、昔の子どもの頃の様子を語るあたり。 下谷生まれの私には、佐竹ッ原というと、駆け出しても遊びに行ける近間の遊…

吉川幸次郎『杜甫ノート』

■吉川幸次郎『杜甫ノート』(新潮文庫、S29)、pp.120-121。 ■杜甫の漢詩「春夜喜雨」を解した一節。飛躍するが、ハイデガーのヘルダーリンの詩及びギリシャ哲学の解釈にも通じる滑らかさを感じる。 ■ 野径雲倶黒 江船火独明 (野径に雲は倶に黒く 江船に火…

ヘミングウェイ、福田陸太郎訳『移動祝祭日』

*アーネスト・ヘミングウェイ、福田陸太郎訳『移動祝祭日』(岩波同時代ライブラリー、1990.7)、p.7。 *「サン・ミシェル広場の良いカフェ」から。 *牡蠣は強い海のにおいとかすかな金属の味がしたが、冷たい白ぶどう酒はそれを洗い流して、あとにただ海…

小林秀雄「モオツァルト」

*小林秀雄『モオツァルト・無常という事』(新潮文庫、1967改版)収録、pp.53-54。「モオツァルト」(1946.7「創元」)の一節。 *模倣は独創の母である。ただ一人のほんとうの母親である。二人を引き離してしまったのは、ほんの近代の趣味にすぎない。模倣…

小林秀雄「モオツァルト」

*小林秀雄『モオツァルト・無常という事』(新潮文庫、1967改版)、p.18。 *「モオツァルト」(1946.7「創元」)の一節。 *美は人を沈黙させるとはよく言われることだが、このことを徹底して考えている人は、意外に少ないものである。 優れた芸術作品は、…